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「漢字」「使い分け」「やまとことば」「1つ」
の記事でも漢字に翻弄されることの愚かしさについて書きました。
漢字は日本語にいくらかの豊かさをもたらしましたが、複雑さと混乱ももたらしました。
かといっておじさんは漢字否定派ではありません。
ハングルやアルファベットのように「表音文字 (文字に意味はなく、音を表すだけの記号) 」だけもつまらないです。
また「むかしむかしあるところにおじいさんとおばあさんがいました」のように、表音文字 (ここではひらがな) だけの文章は読みにくいです。
文字数も多くなります。
漢字をうまく利用するのはいいですが、漢字に縛られ踊らされるのはやめましょう。
何ごともほどほどに。
やまとことばは1つ
中国から漢字がはいってきて、当時のほんの一握りの上流階級の人たちが事細かく意味と漢字を使い分けることにしました。
過ぎたるは及ばざるがごとし。
過ぎてしまったんですね。
ほどほどにすればよかったんだけど。
中には日本人がかってに使い分けているけど、本家中国の意味はちがうこともあります😄
やまとことばの本来の意味
そこで細かく漢字や意味を使い分けられているものの「本来のやまとことばの意味」を考えてみました。
さす
漢字は
差す、刺す、指す、挿す、射す、注す、点すなどがあります。
変換するとまだまだ出てきます😅
挿すまでは日常的に見かけますね。
それもそのはずここまでは常用漢字で音訓表にある読みかたです。
射す、注す、点すは常用漢字ですが音訓表にない読みかたです。
それぞれの漢字の使いかたと意味を見てみましょう。
差す、指す👈
この「差す」がもっとも一般的で何にでもつかえる漢字です。
意味と例
上に手をかざす。差し出す。差し上げる。差し入れる。コンセントに差し込む。
指差す。
「指す」で「さす」と読むんだけど、「指を指す」だとダブっているので苦しまぎれにこのときは「指を差す」のほうをつかいます。
そもそも「人を指す」、「方向を指す」で「指をその方向に向けている👈」ことを表しているんだけど、「指をさす」のときは困りますね。
「人指指」も?なので、人差し指と書きます。
頭痛が痛いとか、骨を骨折するみたいな感じです。
差す、注す、点す
ここでも「差す」が代表者で、注す、点すは常用漢字音訓表にない読みかたです。
意味と例
液体を入れる。ほかの容器に移す。水を差す。水差し。目薬💧を点す。点眼。注射💉。
「注す」の字は「注ぐ (そそぐ) 」とも読まれ、「液体が流れ込む。流し込む」という意味です。
目薬のことを点眼液というけど「点」は「さす」という意味だということがわかれば納得しますね。
点滴もそうですね。
また使い分けているといいながら「注射」のようにダブルでつかうこともあります。
刺す🔪
「刺す」だけは「差す」と一線を画しています。
「差す」の座を狙うNo.2です。
意味と例
尖ったものを突き入れる。針や刃物など。
比喩表現をのぞいて、じっさいに「穴が空きます」
「刺すような視線」のようにじっさいには穴は空かないけど「そのような」という意味の表現もあります。
「穴が空くほど見つめる」とか。
挿す
意味と例
細長いものを他のものに突き入れる。花瓶にバラを挿す。挿し木。挿入 (カード、コインなど)
この場合は「刺す」とちがってあらかじめ穴が空いているところ、隙間などに入れる、差し込むことです。
射す🏹🎯
意味と例
日が射す。日射。日差し、陽射し。日が射し込む。注射。
日差しと陽射しのように使い分けていながら、使い分けていないものもあります😅
導かれる「さす」の大意は?
細長いものを対象に向ける。または当てる。結果的に穴が空くこともある。
こう考えればもともとのやまとことばは1つ。
漢字がはいってきていろいろ使い分けているけど、注射 (さす、さす) のようにニコイチでつかうものもあるのでどの漢字じゃなければダメということはありません。
中国語は同音異義語が多いので漢字1文字でつかうことはあまりなく、たいていおなじ意味の漢字のニコイチでつかわれます。
進行 (すすむ。いく) 、停止 (とまる、とまる) 、停泊 (とまる、とまる) 、会合 (あう、あう) 、聴聞 (きく、きく) 、巨大 (おおきい、おおきい) のような具合です。
停止と停泊のようにニコイチにすることで意味を使い分けています。
「さす」に関しては「穴が空くときだけ」→「刺す」
あとは「差す」と思っていればいいでしょう。
わからなかったらひらがなで「さす」と書く。
重複問題
じっさい「指を指す」「労を労う」のような問題が出てくるので「指をさす」「労をねぎらう」のようにひらがなで書くことも増えてきているようです。
ほかにも「日日 (ひにち) 」「出出し (でだし) 」など漢字で書くと「変!」なものがあります。
「日々 (ひび) 」だとべつの意味になります。
何でもかんでも漢字で書けば偉いというものではありません。
いかに読みやすくするかが大事です。
その他の「さす」
上の「さす」グループとはもともと意味がちがうものもあります。
鎖す
戸を閉める。鍵をかける。「とざす」とも読みます。=閉ざす
辞書で見かけたけど、60年生きてきて1度も見たことも聞いたこともありません。
これは「鎖 (さ) 」に動詞語尾の「す」をつけた言葉ですね。
「鎖 (くさり) をする」という意味です。
止す
やりかけていた動作を途中でやめる。言いさす。言いさし。飲みさし (飲みかけ) のコップ。
これも「止す (さす) 」単独でつかうことはなく、言いさし、飲みさしのように接尾語としてつかわれます。
また「止す」は「よす」とも読めるけど、ひらがな表記のほうがいいです。
「止める」も「とめる」と「やめる」の読みかたがあるけど、日本人でも区別できないので「やめる」はひらがなで書いたほうがいいです。
「雨が止む」も「やむ」のほうがいいでしょう。
「やむ」は「やめる」の文語 (古語) です。
現代では自然現象にしかつかいません。
また「止むを得ず」のような決まり文句でしかつかいませんがこれも「やむをえず」のようにひらがなのほうがいいです。
漢字で書くと主張が強すぎるからです。
わたしは日本語教師をしています
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