目次をご覧になりたい方はクリックしてください→
「途中で」「ついでに」
「途中で」「ついでに」やることもあるので外国人には違いがわからないようです。
途中で on the way, halfway
そもそも「途」は「道」のことです。
だから「道中」も仲間の言葉です。
空間
道のどこかで。出発点から目的地の間
ちょうど真ん中でなくてもいいです。
例:
学校に行く途中 (で) 、雨が降ってきた。
家に帰る途中 (で) 、友だちに会った。
する (動詞) +途中
行く途中、帰る途中など、
「行く」は動詞の連体形、途中は名詞です。
「で」をつけることで副詞になるんですが、この使いかたの場合「で」を省略しても副詞としてつかえます。
「今度の日曜日 (に) 、会おう」など名詞をそのまま副詞としてつかう言葉はたくさんあります。
「時」を表す言葉に多いですね。
学習者には「で」を入れておけばまちがいないと教えましょう。
どっちでもいい、は初心者にとっていちばん困る言葉だからです。
で、けっきょくどっちなん?とツッコまれます😅
カンタンな言葉で「時 (とき) 」に置き換えられます。
これも本来なら「時」は名詞なので「時に」と「に」をつけなければならないのですが、今では「時」だけで副詞としてつかえます。
むしろ現代では「に」をつけないほうがふつうです。
例:
学校に行く時 、雨が降ってきた。
家に帰る時 、友だちに会った。
「時」は瞬間のこともあるし、ある程度長い「時間間隔」のこともあります。
外国人の学習者はなぜか「途中」をやたらにつかいたがりますが、母語話者の日本人は「時」で済ますことのほうが多くそのほうが自然です。
「途中」をつかうときは、「道中」の意味を強調したいときです。
例:
学校に行く途中に怖い犬がいて通れなかった🐶
「で」が「に」になることもあります。
これは「そこで何かをするか」と「そこに何かが存在するか」のちがいです。
上の例文を動作動詞にすると「で」に変わります。
学校に行く途中で怖い犬に出会った🐶
名詞の+途中
例:
散歩の途中で、友だちに会った。
登校の途中で、雨が降ってきた。
これらは動作を意味する名詞にかぎります。
だからそれぞれ動詞に言い換えられます。
例:
散歩に行く途中で、友だちに会った。
登校している途中で、雨が降ってきた。
ただし、これは例文として無理やりつくっているので日本語としては不自然です。
ふつう日本人はこう言います。
散歩してる時、友だちに会った。
学校に行く時、途中で雨が降ってきた。 (途中は動詞や名詞のうしろにつけるより、文頭に副詞的につかうのがふつうです)
時間
日本語だけでなく多くの言語がそうであるように、もともと空間につかう言葉や概念は時間にもつかわれることが多いです。
「途中」もその1つです。
時間のどこかで。何かを始めてから終わるまでの間
これもちょうど真ん中でなくてもいいです。
例:
映画を見に行ったけど、あまりにもつまらないので、途中で出てきた。
何事も最後までやりなさい。
途中でやめたらダメだよ。
例文のように「途中」単独でつかうときは「で」は省略できません。
×途中出てきた。
×途中やめたら…
ついでに 2nd business
1番の用事・目的がある
「ついで」はあとから付け足す2番目、3番目の用事のこと。
その「ついでの」2番目、3番目の用事が「どこかに行く途中の場所」にある場合は「途中で」をつかうこともできるけど、2番目、3番目の用事という意味では「ついでに」のほうが自然です。
例:
スーパーに行ってくるわ。
○ ついでにこの手紙、ポストに入れてくれる?🙏
△ 途中でこの手紙、ポストに入れてくれる?🙏
「ついでに」はわざわざする1番目の用事があって、その2番目の用事なので、帰宅にはつかいません。
帰りに
例:
帰りにコンビニで牛乳買ってきて🙏
△家に帰る途中で、コンビニで牛乳買ってきて (まちがいとは言い切れないが不自然。まずつかわない)
×家に帰るついでに、コンビニで牛乳買ってきて (絶対つかわない。家に帰るのはわざわざする1番目の用事ではないから)
「ついで」は用事なのでおなじ場所でもできる
例:
コンビニでタバコ買ってくるわ。
あっ、それじゃあ、ついでにATMでお金下ろしてきて🙏
(途中ではなくおなじコンビニの中)
動詞+ついでに
途中とおなじで、動詞にも名詞にもつけられます。
例:
スーパーに行くついでに、銀行に寄った。
お風呂を洗うついでに、トイレも洗っといたよ。
(途中ではなくおなじ家の中)
ガソリンを入れに行ったついでに、洗車してきた。
(途中ではなくおなじガソリンスタンド⛽)
名詞の+ついでに
「途中で」とおなじく、「動作する」名詞です。
例:
散歩のついでに、コンビニで牛乳買ってきた。
(=散歩に行くついでに。ただしふつうは使わない)
出張のついでに、観光してきた。
買いもののついでに、銀行に寄った。
これらも例文として無理やりで、日本人は動詞や名詞のうしろにつけずに、文頭に副詞的に置くのがふつうです。
また、例文のようなひとり語りでつかうことはほとんどなく、ふつうは
A:どこかに行く / 何かをする (第1目的)
B:ついでに、これもやって (付け足し。おまけ。自分の用事を相手に押し付ける😄)
と頼む (押し付ける) ときにつかいます。
途中とついでのちがい
「途中」は空間・時間の中間を表すので、用事ではありません。
例:
学校に行く途中 (で) 、雨が降ってきた。
(雨が降るのは自然現象で用事ではない)
家に帰る途中 (で) 、友だちに会った。
(友だちに会ったのは偶然に起きたできごとで、用事ではない)
学校から家に帰る途中、友だちの家に寄った。
この場合、「友だちの家に寄る」のは「ついでの用事」ではなく、むしろ1番の用事・目的。
家に帰ること自体が用事ではないし、友だちの家に寄るのも2番目以下の用事ではないから「ついでに」はつかえません。
ただこれも自然な言いかたとしては「帰りに」をつかいます。
(学校) 帰りに、友だちの家に寄った。
(学校からの帰りだとわかっているときはいちいち「学校帰りに」とは言わず、「帰りに」で済ませます。
そもそも学校からの帰りだろうが、会社からの帰りだろうが、どこからの帰宅かはこの場合重要ではないので)
時>途中
多くの場合、「途中」より「時」をつかいます。
家に帰る途中で雨が降ってきた。
→家に帰る時、雨が降ってきた。
この場合は、まだ帰りはじめる前に降ってきたというニュアンスが強いですが、「時」は範囲が広いので「途中」もふくみます。
途中は完成・達成ができないニュアンス
映画を最後まで見るとか、本を最後まで読むなど、目的がはっきりしていて、ゴールを目指しているものが中断したとき「途中」をつかいます。
それに対して「食べる」「歩く」などゴールを意識していない単純な動作の場合は「時」をつかいます。
× ご飯を食べている途中で、電話がかかってきた。
(意味はわかるけどつかいません)
○ ご飯を食べている時に、電話がかかってきた。
× 寝ている途中で、泥棒がはいった。
○ 寝ている時に、泥棒がはいった。
最中
この場合は、まさにその動作の「真っ最中」ということを表したければ「最中」をつかいます。
ご飯を食べている最中に、電話がかかってきた。
「あいだに」と「うちに」~ やまとことば
わたしは日本語教師をしています
プロフィール・レッスン予約はこちら。
表示名はToshiです。