夫 (つま) と妻 (つま) ~ もとは同じ

tuma 妻

「つま」「夫」「妻」「端」

つま 夫=妻?

現代では「妻」といえば女性のみを指します。
しかしもともと「つま」という日本語は夫婦や恋人が「お互いに相手」のことを呼ぶ言葉でした。

相棒、伴侶、パートナー、配偶者、番いの片方ということです。

だから漢字で書けば、「夫」も「妻」も「つま」と読みます。

端 (つま)

さらに遡ると、もとの言葉は「端」で、文字どおり「はし、へり」という意味です。

夫婦や恋人を2人の人間ではなく、1つの物の「両端」と捉える考えかたはおもしろいですね。

妻 (つま)

時代とともにそれでは夫と妻とどちらの意味か区別できないので、「妻 (つま) 」は女性につかうようになりました。

ファイル:妻-bigseal.svg

もちろんこの漢字には「女」がはいっているので、この漢字は女性を表しています。

「 (婚礼の)髪飾りをつけた女性」を象っています。

やまとことばには、もともと文字がなくて「つま」という言葉が両方とも指していたんです。
言うまでもないけど、ひらがなもありませんでしたよ。

刺し身についてるやつ

よく大根を細く切ったものや、海藻がついてます。
これも「妻 (つま) 」といいますが、やはり「端」で「おまけでついているもの」業界用語で「バーター」みたいな感じでしょうか。

夫 (おっと)

じゃあ男性のほうは何と呼ぼうか?

「男人」で「を-ひと」でいいんじゃね?
何とも安易な😅
をひと→をっと→おっと、と音が変化しました。

ファイル:夫-oracle.svg

こちらは「髷 (まげ) に簪 (かんざし) を挿した人の姿」
なかなかユーモラスです。
漢字の濫用はよくないですが、こういうところが好きです。

テンガロンハットを被ったマリアッチの人みたいです🤠🎸

だから「男人」は読んで字のごとく、もとは「男の人」という意味で、のちに配偶者の男性に対してつかうようになりました。

妻壁 (つまかべ)

建築用語で妻壁というのがありますが、これは漢字の濫用のいい (悪い?) 例です。
なんで「妻」?

tuma 妻壁

「つま」は「端っこ」という意味なので、屋根が垂れ下がっていない横から見ると三角に見える部分を「妻壁 (つまかべ) 」といいます。

「端壁」で「つまかべ」と読ませるか、「端」に読みかたが増えると大変なので「つま壁」にするか、言葉自体を「はしかべ」にしてしまうか。

これに対して、軒が下がっていて雨樋がついているほうを「平 (ひら) 」と呼びます。
棟と平行なほうの壁です。
だいたい、こちら側に玄関や縁側、掃出し窓などがついています。

切妻 (きりづま)

これでこの言葉の謎も解けました。
上の絵が切妻造りです。

いちばんカンタンな造りで、屋根の天辺の棟木から両側に垂木を斜めにかけ、屋根板を貼ったものです。
妻壁は屋根まで壁になっていて、三角に見えます。

これに対して、寄せ棟 (よせむね) や入母屋 (いりもや) 造りでは、妻壁にも屋根がついています。

おじさんの絵ではよくわからないというかたは上の言葉で検索して画像を見てください😄

稲妻 (いなづま)⚡

おじさんはあえて「いなづま」と書きました。
「妻 (つま) 」が連濁したのだから「づま」が正しいです!

しかし国語分科会は「いなずま」と表記させる。
もっとしっかり考えて決めてほしいです😠
もちろん国語のテストで「いなづま」と書いたらバツを喰らいます😅
でもおじさんは「いなづま」と書きます😄

ちなみに「近付く」は「ちかづく」ですよ。

稲妻の「つま」はやはり「妻 (女性) 」ではなく、「稲の相棒」ということでどちらの性かということは表していません。
稲の収穫時期は夏の終わりで、台風も多く、雷がよく発生していわゆる「稲妻」が田んぼに落ちるのでこの名がつきました。

雷のほうが♂的なので、稲夫のほうがよかったかなと思うけど、これだと「いなお」という人の名前みたいですね😄

辻褄 (つじつま)

「辻褄が合う」という言い回しでよくつかいます。
なぜか「辻褄が合わない」と否定でつかわれる頻度のほうが高いです。

驚くべきことにこの字は2つとも国字 (こくじ) です😮
国字とはその名のとおり、made in Japan で日本製です。
国産です。
だから厳密には「漢字 (漢の文字) 」ではなく中国にはありません。
したがって基本的に訓読みしかありません。

辻 (つじ)

もとは「つむじ」といいます。
「つじ」に音が変わりました。

「近頃の若いもんは!」という批判を受けながら定着したんですね😄

頭の旋毛 (つむじ) や旋風 (つむじかぜ) とはちがいます🌀

国字は見たとおり、
辶 (道) と「十 (交差点の形) 」を合わせてつくった「十字路」という意味です。

裁縫

転じて、裁縫では「縫い目が十文字に合うところ」という意味になりました。

褄 (つま)

衤 (着るもの) と「妻 (へり) 」を合わせてつくりました。
着物の裾が合うところです。

辻褄

つまり、「合うべきところがきちんと合う」ことです。

ドイツ語

おじさんのブログはこれでは終わりません。

ドイツ語で夫婦をそれぞれ何と言うか?

夫:Mein Mann
妻:Meine Frau

それぞれ
私の男
私の女

そのまんまというか、味気ないと言おうか、愛人も「私の女」と言うのでしょうか😄

ドイツ語の一覧 ~ おじさんバージョン

参考:デジタル大辞泉
wiktionary日本語版

むすび

おじさんは漢字否定派ではありませんが、あまりにも濫用しすぎだと思います。
小学校の国語の先生が大好きな漢字テスト。
「収める」「納める」「治める」「修める」の使い分け。

もとのやまとことばは「おさめる」1つで、
「秩序ある状態にする」という意味です。

❌をつけるためにこんなテストをする先生はどうかと思います。

指す、刺す、差す、挿す、射す、注すも全部「さす」で
「細長いものを当てる。または突き通す」という意味です。

何ごともほどほどに。
漢字に翻弄されないように。

「ほどほどに (中道) 」~ブッダのつぶやき

さっちゃん
妻用事はどこ?
ひげおじさん
爪楊枝ね😅

やまとことば ~ 一覧

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