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- 1 はじめに
- 2 日本語は英語ではない
- 3 主題+述語
- 3.1 述語
- 3.2 とくに〇〇について言えば、~だ。
- 3.3 は
- 3.4 例文
- 3.4.1 ぼくは男の子だ / です。[名詞]
- 3.4.2 この花は美しい (です)。[形容詞]
- 3.4.3 そのタクシーはゆっくりだった / でした。[副詞]
- 3.4.4 家政婦は見た / 見ました[動詞]
- 3.4.5 東京は3時だ / です。[名詞]
- 3.4.6 ぼくは1980円だ。[名詞]
- 3.4.7 I’m nine dollars.~ わたしは9ドルよ
- 3.4.8 ぼくはウナギだ😮[名詞]
- 3.4.9 象は鼻が長い。水が飲みたい。君が好きだ! ぼくはウナギ? ~「は」「が」は主語ではない!
- 3.4.10 「が」「は」「も」のちがい ~ 部分否定と全面否定
- 3.4.11 「は」と「が」~ 他でもない注目の「が」
- 3.4.12 「は」と「が」~ 従属節の中の「が」
- 3.4.13 格助詞「は」と「が」と「を」のちがい ~ 日本語
- 3.4.14 やまとことば ~ 一覧
- 4 わたしは日本語教師をしています
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「は」「主題」「述語」
はじめに
東京は3時です。
これは意味もわかるし正しい日本語です。
しかし、この文章には主語も動詞もありません。
東京は主語ではありませんよ。
省略しているのでしょうか?
いえ、何も省略していません。
これが正しい日本語です。
厳密に分析すると
東京:主題 (話題)
は:格助詞
3時:述語
です:助動詞
東京≠3時
これまた厳密に言うと、
時刻=3時
だからものすごく事細かに書くとこうなります。
東京について言えば、時刻は3時です。
しかしこれはどこまでも英語的な文法的解釈と構文です。
英語では主語+動詞が根幹にあり必須なので仮主語 it まで持ち出して文章を作ります。
It is 3 o’clock in Tokyo.
it (時刻) :主語
be (is) :動詞
3 o’clock:補語
in Tokyo:副詞句 (主語ではない)
日本語は英語ではない
なんでも外国の基準・視点・概念を日本語に当てはめようとしてはいけない
そもそも日本語は英語ではありません。
ほかのどの言語でもありません。
それを英語文法で解釈しようとするからおかしなことになります。
まるで日本語が変な言語であるかのようなイメージを持ってしまいます。
残念ながら日本人自身でさえそう思ってしまいます。
日本語は英語ではありません
比較のために書きますが英語の基本は
S+V
主語+動詞ですね。
そして
S+V+O+O
主語+動詞+間接目的語+直接目的語
S+V+O+C
主語+動詞+間接目的語+補語
となります。
日本語やアルタイ諸語では
S+O+V
主語+目的語+動詞
と解釈され、たしかにそれらの役者が揃っているときはそのように並びますが、
東京は3時です。
のように主語も動詞もない文章も当たりまえで、立派な正しい日本語です。
これはSOVではありません。
SOVがいっさいありません。
主語を省略?
たしかに日本語では主語を省略することが多いです。
わかっていることは言いません。
主語だけでなく、動詞、目的語、助詞も「言わなくてもわかること」は省略します。
(あなたは) 行く?
(あなたは) リンゴ (を) 食べる?
(わたしは リンゴを) 食べるう。
もちろん英語にも
Wanna go?
Where to?
Why not?
のように主語、動詞を省略することがありますが、それはあくまで省略したまで。
例文のように日本語でも英語でもわたしとあなた2人しかいないとき、そして疑問文のときに主語、動詞がないことが多いですね。
ただし日本語では省略したのではなく、最初から主語+動詞の構文が存在しないのです。
主語や動詞の省略というのは英語的な考えかたであって、もともと日本語では省略しているのではなくそういう言語であり、それが正しい日本語なのです。
長々と書いたけど、みなさんに植えつけられた英語の文法ありき、英語の文法=世界標準という呪縛を解くためです。
英語≠世界標準
ついでに言えば、英語はほかのヨーロッパの言語に比べてかなり「変な」言語です。
これは1つでも英語以外の外国語を勉強した人ならわかります。
まだしたことがないのなら是非してみてください。
「英語って変」と思うでしょう。
英語は様々な言語のごった煮でいわゆるクレオール言語に近いので、逆に主語+動詞+目的語という配置が必須になってしまったという経緯があります。
ほかの言語は、どこにどの単語を配置するかもうすこし寛容です。
ヨーロッパの言語ではとくにドイツ語。
格変化というものがあるので単語の位置を変えてもその格は変わらないからです。
日本語も「がのにを」というその名も格助詞があるので位置を変えても格は変わりません。
おっと外国語講座になってしまった。
主題+述語
さあ長い前置きが終わったところで本題の日本語にはいりましょう。
英語とのちがいを説明したところでだいたい答えは出ているのだけど例文を出しながら説明していきましょう。
英語っぽく略語を使うのなら
T:theme, topic 主題、話題 / focus 焦点、注目の的
P:predicate 述語
日本語は
T+P
と書けばもっともらしいでしょうか。
S+V
ではありません。
述語
述語にはなんでもつかえます。
動詞、形容詞、名詞、助動詞、はたまた副詞までOK。
なんでもござれ。
日本語文法においては動詞は主役でも必須でもなく、述語の一員にすぎません。
これが英語などの外国語と大きくちがうところです。
主語も動詞も存在しない「ちゃんとした」文章が存在します。
繰り返しますが省略ではありません。
とくに〇〇について言えば、~だ。
日本語の構文は
主題:とくに〇〇について言えば
述語:~だ。
ですべて解決します。
は
そしてそこにつねに存在するのは動詞ではなく格助詞「は」と言っても過言ではありません。
「は」は日本語の頂点に君臨します。
「は」なくして日本語はない。
例文
比較のために英語の例文と文法も出します。
[ ]内は述語の品詞です。
ぼくは男の子だ / です。[名詞]
この場合は
ぼく=男の子
なので
英語の
I am a boy.
とおなじです。
ただし「だ / です」は助動詞であって動詞ではありません。
英語文法では「ぼく」を主語、「男の子」を補語として捉えますが、
日本語文法では「ぼく」は主題、「男の子」は述語です。
主題としてしつこい言いかたをするとこうなります。
(とくに) ぼくについて言えば、男の子だ / です。
日本語の主題の「は」はつねに
「とくに〇〇について言えば」というのと同時に
「他のことは知らんけど」という言外の意味をふくみます。
この花は美しい (です)。[形容詞]
一見、上の例文とおなじに見えますが「美しい」という形容詞にいたっては「だ」は論外、「です」という助動詞はつけなくても成立します。
動詞どころか助動詞さえ存在しません。
しかしこれは省略ではなく正しい日本語文法です。
これも次のように言い換えられます。
(とくに) この花について言えば、美しい。
英語では
This flower is beautiful.
なので
「花」を主語
「美しい」を補語
と捉えますが、
日本語では
「花」は主題
「美しい」は述語
です。
そのタクシーはゆっくりだった / でした。[副詞]
副詞でさえ述語としてつかえます。
もちろんこの文章には動詞がありません。
英語的には「ゆっくり走った」とか「動きが遅かった」などと書かなければなりませんが、日本語ではこれでOK。
家政婦は見た / 見ました[動詞]
もちろん動詞もつかえます。
しかしこれはあくまで述語であって、ほかの例文の名詞や副詞となんら立場は変わりません。
ここだけ切り取って英語的解釈をするのはやめましょう。
日本語は英語でもないし、ほかのどの言語でもありません。
東京は3時だ / です。[名詞]
前述のとおり
東京≠3時
です。
上の名詞・形容詞・動詞の例文は英語とおなじ構造として捉えることもできますが、この文章は英語とはまったくちがいます。
これを主題として書くとこうなります。
(とくに) 東京について言えば、3時です。
(他の都市については知らんけど…)
繰り返しますが
時刻が3時です。
3:名詞
時:接尾辞
ですが、3時で名詞と考えます。
ぼくは1980円だ。[名詞]
安っ😄
割り勘のときの自分の支払いのことを言っています。
これも
ぼく≠1980円
です。
英語では主語+動詞
日本語の「〇〇は~です」をI amとか、He isで教えてしまうから
I am 1980 yen. (安っ😄)
という文章を作ってしまいます。
なんども繰り返しますが日本語は主語+動詞ではなく、主題+述語です。
そうすれば
ぼくは1980円だ。
という文章はすこしもおかしくありません。
厳密な意味は
ぼくが支払う割り当ては1980円だ。
というまどろっこしい文章になりますが、それは英語文法に毒された人が書く文章です。
これもこのようになります。
(とくに) ぼくについて言えば、 (自分が払う金額は) 1980円だ。
I’m nine dollars.~ わたしは9ドルよ
ぼくはウナギだ😮[名詞]
これこそ驚異の日本語ですね。
もちろん
ぼく≠ウナギ
です。
これはウナギ文という名前までつけられている有名な例です。
みんなで定食屋にはいって
「俺はざるそばがいいな」
「わたしは天丼にしようかな」
「ぼくはウナギ (鰻重) だ」
という流れですね。
ここで日本人は
「ぼくはウナギを注文する」とか
「ぼくはウナギを頼むことにした」とか
言いません。
これも
(とくに) ぼくについて言えば、 (注文するのは) ウナギだ。
(ほかの人は何を頼むか知らんけど)
となります。
象は鼻が長い。水が飲みたい。君が好きだ! ぼくはウナギ? ~「は」「が」は主語ではない!
ということで日本語は
主題+述語
ということがおわかりいただけましたか?
これを理解すれば
外国人が日本語を勉強するときも
日本語教師が外国人に日本語を教えるときも
日英翻訳するときも混乱することがすくなくなります。


「が」「は」「も」のちがい ~ 部分否定と全面否定
「は」と「が」~ 他でもない注目の「が」
「は」と「が」~ 従属節の中の「が」
格助詞「は」と「が」と「を」のちがい ~ 日本語
やまとことば ~ 一覧
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