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「クロロフィル」「クロリン」「塩素」「緑」
塩素がないのになぜクロロフィルというの?
chlorine (クロリン) 塩素
塩素の化学記号「Cl」はもちろんここから来ています。
塩化物は「chloride (クローライド゜) 」といいます。
もっとも単純でみなさんよくご存知の
「塩酸」は
「hydro-chloric acid」です。
とうぜん
「chloro-」は「塩素」化合物を表します。
chlorophyll (クロロフィル) 葉緑素
これもみなさんよくご存知、植物が光合成を行うためのもので赤い光を吸収するので「緑」に見えます。
しかし、葉緑素の分子式は
C55H72O5N4Mg
マグネシウムのまわりを4コのN (窒素) が取り囲み、そのまわりにC、H、Oがくっついています。
どこにもCl (塩素) がありません!
chloro- は「緑」という意味
もとは古ギリシャ語の「χλωρός (khlōrós) 」で「薄緑」という意味です。
phyllは「φύλλον (phúllon) 」で「葉」です。
「緑の葉」そのまんまですね。
これでクロロフィルのほうは納得。
問題はクロリン (塩素) の方。
塩素ガスは緑色!
ほとんどのガスは無色ですが、塩素ガスは「薄い黄緑色」をしています。
薄いときは、「薄い黄色」にしか見えませんが。
「緑色の」ガスだからchloro-に-ineをつけて、chlorineにしたんですね。
これが「greenine」だったらすぐわかるけど、世界中の人が英語をつかうわけじゃないし、学術的な用語はギリシャ語、ラテン語がつかわれます。
塩素系漂白剤
そういえば、塩素系漂白剤の入れ物ってなぜか「緑」ですね。
これも塩素ガスの色と名前の由来から来てるんだろうけど、だれも知らないと思います。
混ぜるな危険☠
酸素系漂白剤と混ぜると有毒な塩素ガスが発生するからです。
あっ、混ぜなくても塩素ガスは出ているのでつかうときはメガネ、マスクをして換気しましょう。
まあ刺激臭がして鼻や目や喉が痛くなるのでわかると思いますが。
殺菌効果があるものは人間にも毒です。
殺菌効果があって人間に無害なものなどありません。
漂白剤、殺虫剤、除草剤、農薬などすべて人間にも毒です。
取り扱いにはじゅうぶん気をつけてください。
環境のためではなくて、あなた自身のためです。
chlorella クロレラ
もはや説明するまでもありませんが、クロロフィルをたくさんふくんでいる藻で、緑色だからこの名がつきました。
chlorin (クロリン) という芳香族化合物があるけど、chlorine (塩素) とはまったく別物で塩素はいっさいはいっていません。
クロロフィルのマグネシウムを取り囲んでいる化合物です。
クロロフィルにはa~fまでの種類があってすこしずつ組成がちがいます。
上に書いたのは一般的なaの分子式です。
紅葉
秋になるとクロロフィルが分解されます。
赤:anthocyanin アントシアニン。anthocyan アントシアンの1種。
黄:carotenoid カロテノイド<carrot (人参) +-ene (炭素の二重結合 -C=C-) +-oid (のようなもの)
→xanthophyll キサントフィル
xantho- 黄色<ギ ξανθός (xanthós)
-phyll 葉<ギ φύλλον (phúllon)
antho- 花の<ギ ἄνθος (ánthos)
cyan シアン<ギ κύανος (kúanos 青)。窒化炭素 CN carbon nitride, cyanogen。青緑色
-in 化学物質の語尾