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「語源」「やまとことば」
助詞
か知らん!→かしら
すでに死語となった女性の役割語。
何か知らんけど…
何かわからないけどある。
理由や関係がはっきりしないけどある。
例:
行ってみれば何かしら見つかるよ。
何かしら自分の興味がある仕事をしたほうがいいよ。
な (命令)
「する」の尊敬語「なさる」の命令形「なされ」の音変化。
または
なさり・ませ (「ます」の命令形) →なさい・ませ→なさい→な
連用形 (ます形) +な
早く食べな。
さっさと行きな。
ぞんざいな感じですね。
ちなみに岡山弁ではエ音便になり、
食べねえ、行きねえ、になる。
岡山弁ではぞんざいな感じではなくふつうにつかう。
「辞書形+な」だと禁止になるのは言わずもがな。
食べるな。
行くな。
動詞
つなぐ
綱 (つな) +ぐ→つなぐ
現代形は「つなげる」ですが「つなぐ」も同居しているパターン。
したがって過去形が「つないだ」と「つなげた」の2通りある。
やぶく
破る (やぶる) +裂く (さく)
だから「やぶる」は何にでもつかえる。
例:
門を破る。
紙を破る。
約束を破る。
でも「やぶく」は薄い物体にしかつかえない。
例:
紙を破く。
障子を破く。
門を破く✕
約束を破く✕
よそる
装う (よそおう) + 盛る (もる)
「ご飯をよそる」といいますね。
もともとは「ご飯をよそおう」と言ったんです。
「装る」と書けるけどふつうはひらがなで書く。
助動詞
みたいだ
< 見た+ようだ
だから「見た様 (さま) 」を表す。
ちなみに「よう」は感じで「様」
「さま」を音読みしたもの。
現代では口語で「みたいだ」、文語で「ようだ」をつかい意味はおなじ。
例:
明日は雨みたいだ。
明日は雨のようだ。
語源がそもそも「見た」から来てるのでややこしい。
助動詞に入れてあるけど、それは最後の「だ」が助動詞というだけ。
じゃあ「みたい」は何?
何者でもない😮
「子どもみたい」というように、語尾では「だ」をつけないこともある。
「だ」をつけないと文法的にはもはや助動詞とはいえない。
でも名詞でもない。
最後が「い」で終わるだけではなく、使いかたや語感も「~したい」とおなじようにある状態を形容しているので、イ形容詞と勘違いして「~みたく」と活用してしまうのもむべなるかな。
もちろん正しくは「みたいに」なのだが、これもいずれは市民権を得て定着するかもしれない。
言葉とはそういうものだ。
あなたが金科玉条のように「正しい」と信じている日本語も、たまたまあなたが生まれた時代に通用しているだけであって、ちょっと前に遡れば「まちがい」である言葉も山程ある。
それはまちがいではなく、「変化した」のである。
接頭辞
おっ
押し (<押す)
意味・語調を強める。
おっぱじめる。
魂消る (たまげる / たまぎる)
<魂が消える。肝をつぶす。びっくりする。とても驚く。
おったまげる (押っ魂消る) 。もっと驚く。ぶったまげる。
押っ取り刀 (おっとりがたな)
おっとりではない。
刀を腰にさす間もなく、手に持ったまま出かけるように急用で慌ただしいこと。
例:押っ取り刀で駆けつける。
ぶっ / ぶん
打ち (<打つ)
うつ→ぶつ
強調。乱暴な動作につかう。
ぶっ殺す。
ぶっ飛ばす。
ぶっ壊す。
ぶっ叩く。
ぶん殴る。
ぶん回す。
ぶちのめす。
ぶち上げる。
ひっ
引き (<引く)
ひったくる。
「たくる」 (<手繰る) 。無理やり奪い取る。
ひっぱたく (引っ叩く) 。
ひっつかむ。
ひっかく (引っ掻く) 。
ひっとらえる (引っ捕らえる) 。
引っ越す。
もともと、「越す」で「引っ越す」の意味があるが、「越す」だけだと意味の範囲が広すぎるので「引っ越す」という言葉をつかうようになった。
ひん
<引く
ひんむく (引ん剥く)
目ん玉ひん剥いてよく見ろ。
ふん
踏み (<踏む)
踏ん張る。
踏ん切り (ふんぎり) 。
「踏み切り」というと、跳躍の競技で反動をつけてジャンプするという意味。
🚉 (遮断機) の場合は「踏切」と送り仮名をつけないのがふつう。
ふんだくる。
ふんじばる (ふん縛る) 。
かっ
掻き (<掻く)
かっぽじる (掻っ穿る)
つついて穴をあける。穴をつついて詰まっているものを取り出す。
耳の穴をかっぽじってよく聞け。
接尾辞
なう
名詞・形容詞について、その行為をする。
担う<荷なう。荷物を背負う。負担する。もと「擔」。「担」は俗字。
商う。語幹「あき」の意味不明。
甘なう / 和う。甘んじて受け入れる。同意する。機嫌を取る。
名詞
扉 (とびら)
戸 (と) 片 (ひら) より。
戸 (と) だけだと短すぎて聞き取りにくかったり、ほかの言葉とまちがえるから。
葉→はっぱ、尾→しっぽ、目→目玉、目ん玉。
ぶっきらぼう
「打ち (ぶち) 切った棒」から言動に愛想がないこと。
堪能 (たんのう)
足りぬ (たりぬ) →足んぬ (たんぬ) →たんのう
「ぬ」は否定ではなく「完了」
英語で完了形が出てきて戸惑うけど、むかしの日本には完了形がありました。
しかも「ぬ」と「つ」の2通りが。
「風と共に去りぬ」の「ぬ」です。
否定の場合は「足らぬ」と未然形になります。
「足りぬ」のほうは連用形ですね。
「去らぬ」だと否定になります。
「足りぬ」つまり「充分に足りた」ということです。
意味:
充分に満足すること。
気が済むこと。納得すること。
堪能は当て字。
もとは「かんのう」と読み、「たんのう」は慣用音。
堪能 (かんのう)
仏語。文字どおり、よく堪える (たえる) 能力。
深くその道に通じていること。
ないまぜ
綯い交ぜ。
綯う (なう) 。糸や紐を1本により合わせる。糾う (あざなう) 。撚る (よる) 。
ないまぜ。種々の色糸をより合わせること。
→いろんなものを、ごちゃまぜにすること。
形容詞
古語では「~し」
現代語では「~い」または「~しい」に変わっています。
例:
広し→広い
美し→美しい
おくゆかしい
もともと「ゆかし」です。
「行く」→「行かし」
「心惹かれそこに行きたい」という意味。
そこから意味が広がり、「好奇心にかられる」「見たい」「知りたい」「懐かしい」などという意味にもなりました。
「おくゆかしい」はさらに「奥」がついて「隠れている部分を知りたい」という意味になりました。
床しい・懐しいは当て字です。
とくに懐しいは懐かしい (なつかしい) と混乱するのでつかわないように。
漢字はたくさん知ってるから偉いということはありません。
「行かし」は現代語の「行けてる (イケてる) 」と共通するところがありますね。
やんごとない
止む事無し (やむことなし) →やんごとなし
ほっとけない。なおざりにできない。のっぴきならない。
→身分が非常に高い。高貴な。
のっぴきらない
<退き引きならない
「のっぴき」という名詞がありますが辞書に載ってるだけで現代ではつかうことはありません。
退いて、よけること。
それができない状態。
≒進退窮まる (きわまる)
< 進退維 (これ) 谷 (きわ) まる。詩経 (しきょう) から。
おなじ意味で「抜き差しならない」があります。
よんどころない
拠所無し (よりどころなし) →よんどころなし
拠り所がない
→そうするしかない。しかたがない。やむを得ない。
あばら / まばら
あばら
荒ら / 疎ら
隙間だらけ。まばら
まばら
疎ら / 疏ら
おなじ漢字で読みかたがちがうので日本人でもどちらかわかりません。
こういうものはやはりひらがなで書きましょう。
あばら屋 (荒ら屋)
荒れ果てた家。破屋 (はおく)
肋
肋骨 あばらぼね / ロッコツ
あばらな (まばらな) 骨だから🦴
スカスカ骨という感じかな。
連語
副詞的
さておき
扨措く (さておく) 。そのままにしておく。
さ。
それ。
そういう状態。然 (さ)
「さ・て」は「そう・あって」つまり、「そのような状態にあって」だろうか?
「然り」で「さり」とも「しかり」とも読む。
これが漢字の濫用は避けたほうがいい理由の1つである。
ちなみに「扨」は国字。
すておく
むかしの人は字が読めなかった。
だから意味から「捨て置く」に置き換わったのではなかろうか。
文字どおり「放って置く」「ほっとく」という意味だ。
「さておく」が「そのままにしておく」に対して、「ほっとく」は意味は似ているがもうすこし投げやりな、無責任な感じがする。
成句
にっちもさっちも
二進も三進も。
そろばんの割り算の言葉だそうです。
2で割ること、3で割ること。
二進一十で「にしんいちじゅう / にしんいんじゅう」などと読むようですがどれが正解かわかりません。
それが「にっち」になってしまうんだから、どっちでもいいです😄
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