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「キャブレター」「交換」「TLR125」
キャブ交換 2021年6月19日
TLR125の調子が悪いので思い切ってキャブを交換することにしました。
おおむかし、ほかのバイクでばらして中を掃除したことがあるけどキャブを外すのに苦労した記憶だけ残っています。
シートとタンクを外す
まずこれを外さないとキャブに手がつけられません。
もちろんタンクを外す前には、燃料コックをOFFにして、キャブにつながってるチューブを外します。
作業場所にもよりますが多少なりともガソリンがこぼれるので下に受け皿やダンボールなどを敷いておきましょう。
もちろん火気厳禁です🚭
キャブに繋がっているものを外す
ドレインチューブやエンジン側と、エアクリーナーにつながってるボルト類を外します。
キャブレター・インシュレータ側は10mm。
エアクリーナー側は+ネジ。
上部のスロットルワイヤがはまってるフタも外します。
エアクリーナー側はゴムなので後ろにキャブを押しつけてエンジン側のボルトから抜きます。
キャブを取るときはこれで取れるのですが、いざ新しいキャブを入れようとするとはいりません💦
しかも、互換品なのでもともとついていたものよりすこしサイズが大きいです。
なので、なるべく外したくなかったのですがエンジン側のキャブレター・インシュレータも外すことにしました。
8mm。
carburetor insulator KJ8
これでエンジンとエアクリーナーの間に大きな隙間ができました。
右から見たところ
左から見たところ
新しいキャブを入れる
入れるときは最初にエアクリーナー側 (エアクリーナー・コネクティング・チューブ) を差しこみます。
PC20かPW22か
ここで問題発生!
なんと純正品より新しいキャブのほうがすこし大きい。
TLR125はPC20
TLR200はPW22
との情報を得ました。
遅っ💦
ゴムなのでマイナスドライバーを使いながら、まるでタイヤをリムに組みこむようになんとか入れましたが、入れやすいようにと潤滑剤をつかったら滑って入れたところが外れてしまってかえって手間取りました。
タイヤ交換のときもおなじことをしています。
入れやすいようにと洗剤などをつかうと、たしかに入れやすいんだけど、最後に入れようとすると反対側が滑って外れてしまうという輪廻の罠に陥ります😅
イタチごっこで、入れてく端から反対側が外れていき永遠にグルグルと回りつづける。
全周に潤滑剤を塗るのではなく、最後に落とし込むところだけに塗るのがコツ!
なんとか収めて元どおりにしました。
このエアクリーナー・コネクティング・チューブにキャブを差しこむのに手間取り、都合4~5時間もかかってしまいました。
数字
キャブに書かれているこの数字。
どうやらキャブのベンチュリー (通り道) の内径のようです。
真円でなく縦長なので、真円に換算した値らしいです。
外したキャブにもあります。
しかし奇妙なことに22と刻印してあります。
同じじゃないか!
でもスロットルバルブじたいはあきらかにこちらのほうが小さいです。
試運転と調整
エアスクリュー 1+3/4もどし~
とりあえず世間の情報からエアスクリューは1+3/4もどしからスタート。
2+1/2~3もどし
あまり変化が感じられませんでした。
交換する前のキャブと変わりません😅
1+1/2にすると回転が落ちてくる
1でかなり落ちる。
0.5で完全に止まる
ちゃんとエアスクリューは絞られて空気は遮断されているということです。
二次エア (ほかのところから吸ってる) はなさそうです。
チョーク
やはり不思議なことにチョークを引いても回転は下がらず、止まることもありません。
ちゃんとチョークは動いていてエアクリーナーからの空気を遮断しているはずなのですが。
新品のキャブ
チューブ、クリップや燃料フィルターまでついていました。
フロート室はネジではなくクリップ止めです。
マイナスドライバーなどでこじらないと開かないので、キャブを傷つけたり、手をケガしたりしないように慎重にやさしくやりましょう。
throttle valve, jet needle
フタを外してスロットルバルブ (円筒) 、ジェットニードル、バネを取り出したところ。
cut away
斜めになってるほうがエアクリーナー (吸気) 側です。
真ん中の溝はスロットル・ストップ・スクリューが当たるところで斜めになっているので、ネジの締めこみ具合でスロットルのもどる位置が変わります。
反対側はスロットルバルブのガイドです。
この溝に沿って上下します。
組みこむときはキャブの中の突起に合わせて差しこみます。
また、ジェットニードルがニードルジェットホルダーにはいるように入れます。
途中で引っかかったらムリに押しこまないように。
ジェットホルダー
ニードルジェットホルダー
メインジェットなどとも呼ばれます。
上のジェットニードルがこの穴に差しこまれます。
スロットルバルブが降りるとジェットニードルがこの穴をふさいで、ガソリンを吸いこまなくなります。
スロージェット
アイドリング、つまりスロットルバルブが降りた状態のときにメインの穴はふさがれているので、こちらからガソリンを吸いこみます。
フロート
ちなみにもう使う予定はなかったんだけど、口径やフロートの仕組みなどを見ようとフロート室を開けたら、フロートがもげてしまいました。
やっぱり触りぬ神に祟りなしですね。
開口 (口径)
エアクリーナー側からはカッタウェイが見えます。
エアクリーナー側外径36mm。
もとからついていたものは32mmです。
かなり大きさがちがいます。
エンジン側からは隙間が見えません。
また、ゴムのパッキンがはいっています。
謎のネジたち
エアスクリュー
アイドリング時 (スロットルバルブがいちばん下に降りてるとき) の空気の量を調整します。
キャブによって変わるのでそれぞれ確認してください。
標準はいちばん締めこんだ状態から1+3/4もどしくらいらしいんだけど、いまのTLRでは2+1/2もどしにしています。
スロットル・ストップ・スクリュー
スロットルバルブの斜めの溝にネジの頭が当たっていて、締めこむとバルブの降りる位置が上がります。
つまり、アイドリングが上がります。
緩めるときは問題ありませんが、締めこむときはスロットルバルブを傷めるので、アクセルを開けて (スロットルバルブを持ち上げて) から締めましょう。
ちょっと多めに締めておいて、すこしずつ緩めていきます。
このキャブは工具なしでも指でつまんで回せるようになっています。
アウター・ベント
フロート室は密閉されているのでこのままではガソリンがはいっていきません。
また、気温や気圧の変化でも油面が変わってしまいます。
そのために空気抜きの穴が空けられています。
ゴミや水がはいらないように下に穴が空いています。
下の写真はもともとついていたキャブです。
穴のところにはゴミや水がはいらないようにチューブがはまっていました。
もともとついていたキャブは横からチューブが出ていたのに、新しいキャブにはそれがないので穴がないのかと思ったらちゃんと空いていました。
インナー・ベント
こちらももとのキャブです。
フロート室の天井 (フタ) のほうに空気抜きの穴があり、アウター・ベントにつながっています。
ここで息をしているんですね。
ここが詰まるとガソリンがはいっていかなくなります。
choke
チョークOFF
レバーが降りてるふつうの状態です。
スロットルバルブは外してあります。
エアクリーナーからエンジンへ障害物がありません。
いま見えてる向こう側が見えている穴の径がキャブに刻印されている数字のようです。
チョークON
レバーを上げた状態です。
むかしの車やバイクではノブでワイヤーを引っ張るものが多かったので「チョークを引く」ともいいます。
草刈機やチェーンソーではいまでもついてますね。
チェーンソーはON/OFFレバーと一体になっているものも出てきていますが。
真ん中に22の数字が見えます。
これは分解してみてはじめて知ったのですが、このチョーク弁は下ろした状態でも押すと真ん中の窓が開くようになっています。
負圧が充分にあればチョークを引いていても空気を吸いこむということです。
これがチョークを引いても回転も下がらずエンストもしない理由なんでしょうか?
と思ったんだけど、アイドリングのときはスロットルバルブが降りているのでこの窓は開きません。
この窓はアクセルを開けている (スロットルバルブが上がっている) ときにしか開かないので、アイドリングでは関係ないですね。
オーバーフロー管
フロート室の下には管があって外につながっています。
フロート (浮き) があるのでふつうはここまで油面が上がることはありませんが、フロートの故障などで油面が上がったときはここから外にあふれだします。
水洗トイレの水タンクとおなじです。
水洗トイレの水タンクもフロート (浮き) があって水が止まるようになっていますが、フロートの故障などであふれたら困るので同じものがついています。
万が一、水が止まらなかったときはオーバーフロー管から便器に直接水が流れるようになっています。
トイレのタンクを開けて見てくださいね。
オンロードしか乗らない人は経験ないでしょうが、オフロードで急斜面に停めたときなどオーバーフローすることがあります。
油面が正常でも容器を傾ければこぼれるということです。
オーバーフローなのではなく、傾けたからこぼれるだけなんだけど、とつじょエンジンの上にガソリンがじゃあじゃあ流れ出すとタンクに穴が空いたのかとびっくりします。
drain
ドレイン (水抜き) のネジです。
これはオーバーフロー管とつながっていて、これを緩めると下の管からフロート室のガソリンが出てきます。
バイクがガソリン浸しにならないように長いチューブがついています。
結露などでフロート室に水が溜まった、細かいゴミが溜まったと予想されるときに開けて水やゴミを排出します。
残念ながらフロート室は透明ではないし、窓もないので中は見えません。
あくまで想像の範囲。
あとはフロート室までガソリンが来ているかどうか確認するため。
メーカー、刻印
CB100E18 06254571
外乗🐎
さて翌日、出かけようとハンドル切った途端、アクセル全開!
寸法が変わったので遊びを調整しなきゃいけなかったのね。
これはアクセルグリップから出たところにあって、アイドリング調整 (戻り位置) ではなく、あくまでワイヤーの引っ張り具合 (遊び) を調整するものです。
キャブを換えて変わったこと
- リターンスプリングが強力になったので腕力が必要になったこと
- とりあえずホットスタートができるようになったこと
アイドリングからちょい開けでギクシャクする感じがする。
濃いのか、薄いのか?
どっちかわからないので素人が下手にいじると、さらにド壺にはまる。
しばらく様子を見よう。
思い切ってニードルを1段下げてみました!
スロットルバルブのニードルを下げる ~ TLR125
最適なキャブのサイズ
ベンチュリー径
=0.65√ (排気量 (cc) ×最大出力発生回転数 (rpm) ×0.001)
という式を見つけました。
もしこれが正しいとすると、TLR125の場合、
=0.65√ (125×8000×0.001)
≒20.6
です。
規定はPC20らしいのでだいたい合ってるようです。
22だとちょっと大きいですね。
おなじ回転数なら、吸いこむ混合気の量もおなじ。
径が太くなればその分、流速は遅くなります。
ほら、水道のホースをつまむと勢いよく遠くまで飛ぶでしょう。
中低速域でギクシャクするのは径が大きいからかもしれません。
キャブを元にもどす 2022年6月30日
すったもんだいろいろやってみたけど、低速でのギクシャク感は消えない。
いちばん大事なところです。
高速道路の直線だけ走る人は、高速域で回ればいいけど、トライアルはほとんど止まった状態からのピックアップ、微妙なコントロールが命です。
1年放置してあったにもかかわらず、予想に反して1発始動!
そもそもキャブを変えた理由はパワーではなくて、ホットスタートが困難という理由でした。
しかし、キャブを変えてもやはりホットスタートは大変です。
どうしてもかからないときは燃料コックをOFFにしてかけます。
かかることはかかるけどめんどうです。
OFFにしていたのを忘れて走りはじめて、途中でガス欠のようにエンストする😄
元のキャブがいい😅
すったもんだして、元のキャブのほうがいいという結論になりました😅
TLR125にPW22は合わなかったようです。
ベンチュリー径はおなじ22のようですが、スロットルバルブの大きさが全然ちがう。
口径はおなじだけどスロットルバルブが大きいということは、そこを通過する距離が長くなるということです。
それで空気がうまく流れないで、酸欠になり「ゴホゴホ」とキャブが咳き込むんです😄
最終的な設定
ニードルはいちばん下 (できるだけガソリンを出さない)
エアスクリューは3回転です。
ウィリーもしやすくなりました。
今までほとんど体の力だけで (エンジンがかかってないのとほぼおなじ状態) 引っ張り上げていたのが、アクセルでカンタンに上がるようになりました。
上がったあともアクセルによる回転の変化がスムーズでコントロールしやすくなりました。
急にうまくなったような気がします。
なんだ。アクセルのせいだったんじゃん😄
コーナーでのアクセル開け閉めでもギクシャクしない。
上りでかなり回転が落ちても粘る。
燃費
林道込みで30km/l!
ほんまかいな。